ポーランド?ハンガリー?ドイツ?中国?羽毛布団の羽毛の産地の特徴と違いと選び方について知りたい!

羽毛布団の販売員から、ポーランド産のダウンだから間違いないと言われたけど本当?

ドイツ?ハンガリー?カナダ?ネットショップに色々と出てきてややこしい!

では、羽毛の産地と特徴、選び方のポイントを簡単に押さえておきましょう!
いざネットで羽毛布団のダウンの産地についての情報を探してみると、メーカーや販売店目線の説明が多くて消費者として何をどこで買ったら良いか迷ってしまいませんか?この記事では、そんな悩みにお応えして、消費者目線で客観的に忖度なしの情報をまとめました。

この記事を書いている私は
“睡眠は大事”がモットーの羽毛布団利用歴25年 快適な眠りを追求するアラフィフ。羽毛布団の買い替えで四苦八苦した経験をもとに、いま羽毛布団を選ぶ人に役立つ情報を発信中。
ダウンの種類と選び方について基本的な内容はこちらに記事を読んでおいてくださいね。
羽毛の産地はどこがよい?
羽毛はグースやダックといった水鳥たちが寒さから身を守るための防寒具です。そのため寒さが厳しい場所で育った水鳥ほど、寒さから身を守るためにタンポポの綿毛のようにふわっと高密度になり、暖かみを溜め込むことができる保温力の高い羽毛になるわけです。
ダウンベルトとは?
ダウンベルトという言葉は耳慣れないかもしれません。ダウンベルトとは、極寒の地域でもとくに北緯50度前後に位置し、良質な羽毛が採取できる地域一帯のことです。産地としてはポーランドやハンガリー、フランスやカナダなどが含まれるんですね。
高級ダウンジャケットなどでカナダグースCANADAGOOSEブランドが有名ですが、現在はカナダのダウンは羽毛布団にはあまり使われていないようです。ヨーロッパ産が高級ダウンと考えておけば間違いないです。

日本に輸入されるダウンの現実
実は、日本に輸入されているダウンの70-80%はアジア産の羽毛です。アジア産の羽毛はほとんどがダック(アヒル)でグース(ガチョウ)は少量なのです。アジア産の中で輸入量の多いのは、中国、台湾、ベトナム などが挙げられます。
やはりグース(ガチョウ)の羽毛の産地となると、ポーランド、ハンガリー、ドイツ、カナダ、ウクライナが多くなり、アジアで唯一挙がるのが中国ということになります。上のイラストにあるダウンベルトの北緯50度ラインと一致しますね。
別格のアイダーダックの産地とは?
グースやその親鳥のマザーグースのさらに上級に位置するのがアイダーダックです。アイダーダックは野生の渡り鳥で、ダウンベルト地帯よりさらに北の北極圏周辺に生息しています。特に有名なのはアイスランドで、グリーンランド、ノルウェー、カナダなど限られた地域です。
加えて、実はアイダーダックは特別保護動物に指定されていることも希少価値が高い理由です。そのため、グースやダックのように鳥の体から直接羽毛を取ることができません。
産卵の時期にアイダーダックが寒さを凌ぐために、自らの抜けた羽毛を巣の中に敷き詰めたものを、雛が巣立った後に手作業で拾い集めるのですが、その量は僅かに20gといいます。ですから、羽毛布団にするとシングルでも1.0kgぐらい必要ですから、100万円を下回らない物によっては数百万円ということになります。
せっかく買うならダウンベルト地帯のダウンを選びたい
中国産ダウンは品質はいかに?
日本に輸入されるダウンの70〜80%を占めるアジア産の国々の中で唯一ダウンベルトに属するのが中国です。とはいえ中国は北から南まで広大ですから、ダウンベルトに属するのはほんの一部で大半はそれより南の地域ではあります。
中国ダウンの品質は悪い?
中国のダウンは品質が悪いと決めるけられがちですが、いろいろ調べてみるとそうとも言い切れないようです。例えば中国の北東に位置する吉林省はダウンベルトに近い地域で、羽毛の生産に力を入れており品質管理にも余念がない地域もあります。
ですから一概に中国の羽毛はダメと決めつけてしまっては、安くて品質が良いダウンを見過ごしてしまうことになります。しかしながら、消費者目線で考えると目に見えないし質の判定が自分ではできないので、ピンからキリまの中国産ダウンを選別するのは難しいのは事実。
ポーランドやハンガリーといった有名なダウンの産出国では国家として品質向上を進めてきた背景が信頼につながっているのだと実感しました。
羽毛の洗浄も重要
羽毛探しの中でいろいろなところで話を聞くと羽毛の洗浄がとても重要ということがわかりました。水鳥の羽毛ですから特有の匂いがするので何度も洗浄する必要があるのですが、洗浄を繰り返すと羽毛の大きさ(ダウンボール)が小さくなるというのです。
実際に市場ではニオイのクレームが多いようです。コストと羽毛量の確保から洗浄が充分ではないことが理由です。この点で、中国産のダウン、というより出所が定かではないダウンには注意が必要だと感じました。
中国はいまや羽毛の一大消費国に!
専門店で話を聞く中でもうひとつ興味深い話がありました。中国では生活水準の向上でダウンや羽毛布団の消費量が増えているのですが、中国産の羽毛は買わずにポーランドとかハンガリーなど高品質のダウンを買うのだそうです。
自国でダウンをたくさん生産しているのに自国のものを買わないという事実が、品質に課題があることを物語っているのではないでしょうか?そのため、消費者目線で私は中国産ダウンはオススメしませんし、私は中国産ダウンは購入しませんでした。
そうそう、大事なことを書き忘れていました。上記のように中国がダウン消費国として高級ダウンをたくさん買っていて、日本に回ってくるダウンが減ってきているので、日本ではこれから羽毛布団やダウンジャケットの価格高騰が起こるだろうということです。早い者勝ちということになりそうです。
自国でダウンを生産しているのに自国のものを買わない点で中国産ダウンはパス
産地偽装対策に認定ラベルで安心
現段階ではやはり中国産ダウンよりもヨーロッパ産ダウンを好むのは皆さんの同じのようで、ダウンの産地偽装という問題が跡を絶たないようです。
2016年5月の羽毛産地偽装疑惑とは?
少し前のことになりますが、2016年5月、国内メディアによって、羽毛の輸入産地が偽装されているのではないかという疑惑が報道されたことがありました。
簡単に説明すると、①当時の羽毛布団の国内販売枚数は年間約320万枚あり、その約半数がフランスやハンガリー、ポーランドなどの欧州産羽毛使用の表示が付いていた、②しかしながら、2015年に輸入された羽毛原料の数量では、輸入先で一番多いのが中国で48%、次いで台湾が29%、欧州・ロシアからは17%しかなかった、③何かおかしいぞ!ということです。
産地偽装対策はこのマーク
この事件は消費者を騙すけしからん事件です!消費者を完全にバカにしていますね!とはいえ、私たちが消費者として品質を正確に判断することも難しいのも事実です。
J-TASとは?
羽毛の産地偽装問題解決のために、目で見てわかる安心として開発されたのがJ-TASラベルというマークです。やはり羽毛の偽装がなくならないなら、このマークが付いた羽毛布団を選ぶのが失敗しない近道となります。
J-TASとは、日本寝具寝装品協会と日本羽毛製品共同組合が共同開発した羽毛のトレーサビリティ監査システムのことです。J-TASラベルが縫い付けられた羽毛製品は羽毛の産地から製品まで追跡調査が出来ます。

日本寝具寝装品協会のJ-TAS(JBA羽毛産地認証)ページより
産地偽装問題の対策として、店舗でもインターネットでも J-TASマークの有無を確認
まとめ
いかがでしたか?羽毛布団に使われる羽毛の産地と品質についてご理解を頂けましたでしょうか?ダウンベルト地帯のヨーロッパ産が高級ですが、その中でポーランドがよいかフランスがよいかという違いは無いようです。それより、産地偽装への対策が大事です。
❶ 高級ダウンの産地は北緯50度付近のダウンベルト地帯
❷ ヨーロッパ産ダウンは流通量が少なく貴重
❸ 中国産ダウンはピンからキリまで
❹ 後を絶たない産地偽装 対策は認証マーク
❺ 相場より安い羽毛布団は疑う 何より信頼できるショップで買う
羽毛の産地と注意事項については知っている状態になりましたので、テレビショッピングやネット上でのキャッチーな広告にも惑わされずに、自分の基準で判断ができるはず。
さらに情報が必要の場合はこちらも参照ください。
羽毛布団の検討から購入までのポイントとステップのマニュアルです
高級 ドイツ産 ホワイトグースダウン羽毛布団の例
昭和西川 60,500円(税込)
●ホワイトグースダウン90%(ドイツ産)
●ダウン充填量:1.2kg
●側生地:綿100%

最高級 ポーランド産 マザーグースダウン羽毛布団の例
日本橋 和雲 217,800円(税込)
●マザーグースダウン95%(ポーランド産)
●ダウン充填量:1.0kg
●側生地:綿100%

最高級 カナダ産 ホワイトマザーグースダウン羽毛布団の例
昭和西川 220,000円(税込)
●ホワイトマザーグースダウン95%(カナダ産)
●ダウン充填量:1.2kg
●側生地:綿100%

この例はシングルロングの仕様です。また、羽毛布団(本掛け)以外にも、中厚の合掛けや薄手の肌掛け、オールシーズンの2枚合わせが、それぞれのスペックで選べます